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WebSocket/Kaazing Gatewayの利用トレンドとポイント

前回から間隔が開きましたが、ここではWebSocketの導入トレンドとその用例について触れていきたいと思います。 Webシステムにおいて、送受信データとブラウザキャッシュされたHTMLベースの画面定義体を分離し、可変するデータ部のみの送受信を行わせることは、接続されるネットワークの帯域はもちろん、デバイス接続先Webサーバの物理リソースの大幅な負荷低減を意味します。これはデータ部分を含めたHTMLファイルをサーバ側で都度生成しファイル全体をクライアントリクエストに応じて送信するといった一般的なHTTP1.x方式ではなく、ブラウザ上で特定の通信プラグインコンポーネントを利用することにより実現されてきたRIA(リッチ・インターネットアプリケーション)のメリットを継承しているように思われます。事実、日本で生まれた後15年あまりの間に大規模な企業システムで利用され世界へと広がったモデルであるRIAのクライアントソフトウェアのデータ送受信部分には各社とも独自Socket通信技術が採用されています。

また、HTML5規約策定の過程において、それまでは独自実装が多かったSocket通信方式をWebSocketというブラウザ上でのデータ通信標準方式として規定したことは、標準規約策定の中心的技術者が米大手ソフトベンダーでサーバサイドのRIAアーキテクト(経歴上は、Rich Internet ComponentsまたはRich Clientのアーキテクト)であったこととは無関係ではないでしょう。このことはUXという用語を産みだしたRIAの高ユーザビリティがHTML4からHTML5へのUXの劇的な向上とも密接に関係していることにつながっていると考えられます。ちなみに、アーキテクチャとしてのWebSocketはその最新性・効率性の観点から、RIAに比べてもより大胆なアプローチを提供しています。それはRIAがデータと画面の分離を(原則として)同一のWebサーバ上のプロセス通信をシリアルに分けることで実現しているのに対し、WebSocketはそれぞれのサーバ自体を分離させることでリアルタイム性と常時セッション、サーバ負荷低減を実現しているという点です。 今のシステム基盤系技術者にはWebSocketが持つ接続方法や構成、データ送受信スピードの向上といった技術的特異性ばかりが取り上げられ、上記の相関関係が触れられることがほとんどないということは、現時点でHTML5を利用したWebシステムがその適応範囲についてのイマジネーションの拡がりを制限している、という点において残念と言わざるを得ません。

さて、前述の背景のためか現時点でWebSocketの適用対象業務を技術者に尋ねるとほぼ全ての技術者は高リアルタイム業務をその適用対象候補として挙げる傾向にあると思われます。実際に日本国内において当社が提供・技術サポートしているKaazing WebSocket Gatewayの導入顧客を古い順で追っていくと、グローバルな金融機関であるHSBC(旧名 香港上海銀行、The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited)におけるリアルタイム為替取引システムや、リアルタイムな金融情報サービサーとして著名のTIBCO社Web Messaging Serviceといった金融系システムでの導入・採用が挙げられます。このような場合、WebSocketを採用する論拠としてクライアントへのリアルタイムなデータプッシュ通信のみと捉えても良いのでしょうか? 一般的なデータフィード分野において単純に画面とデータの分離によるサーバ負荷の軽減とリアルタイム通信のみをその理由に挙げるのであれば、クライアント側が閉じられたネットワーク上に位置し常に同一画面を利用している環境ではWebSocketどころかTCP通信である必要性もなく、例えば金融機関のトレーディングルームという閉鎖空間において長く利用されてきたUDP通信で十分のように思えます。

ここでKaazing Gateway Server/WebSocketを利用した外国為替リアルタイムシステムを取り上げてみます。

(上記のLive Demoは、こちらから参照可能です。。)

本デモのポイントは、こと性能面おいて単純なWebSocketシステムだけでは「ブラウザのみで1画面に最大8項目のリアルタイム・データ送受信+複数のリアルタイムグラフを表示」をさせるという実現困難であった事がKaazing Gateway Serverを導入することで簡単に実現可能ということに加え、UI/UX面においてHTML5のCanvas機能を利用することで利用者固有のリアルタイム送受信される情報プライオリティや志向性、好みを利用システムに即座に反映可能であるという点です。 目まぐるしく状況が変わる外国為替取引システムにおいて、画面やユーザビリティをその時に置かれた状況に応じ、その場で利用者自身が自由に設定可能ということは単なるデータの視認性向上にとどまらず、迅速かつ正確な情報把握と業務判断(この場合はリアルタイム売買の判断)をまさに利用者個々人において実現し、利用者個々人の業務生産性の向上をもたらすことに他なりません。 UI/UX面におけるHTML5の採用は、外国為替システムのようなデータフィードといった画一的業務においてさえ、利用者個々人の置かれている状況(条件、スキル等)および志向性を取り込むことで、システム上のメリットだけでなく業務効率化という根本的な課題に対して1つの解答を提示することになります。

株式会社オークネット・アイビーエス 技術統括室 山形

Author yamagata 2015/06/10 09:55